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駅へ

Dsc_2156

クルマの鍵は鞄の中にスペアを入れてあったので事なきを得た。
10年前は今ほど地理に明るくなかったから20分ほどの距離を
遠回りしたが、今は最短距離を飛ばしてゆける。

車中に流れるのは徳永英明の「ヴォーカリスト」。
おもに女性歌手の歌を、彼ならではの儚げでありながら強靭でも
あるという矛盾さをはらんだハイトーン・ヴォイスが歌い上げる。
3月に恩師のS先生宅に泊まらせていただいた折に流れていた一枚だ。
中島みゆきの「時代」からはじまって、一青窈の「花みずき」、
そして竹内まりやの「駅」につづいてゆく。
そうだ、できすぎた話だがH氏はいま駅にクルマを走らせている、
K氏を迎えに。

竹内まりやの「駅」は、昔の恋人を駅で偶然見かけた主人公が、
彼と隣の車両に乗りながら、掛ける言葉の一つも見つけられない。
美しい思い出と苦い思い出。彼を今でも好きな気持ちに変わりない
ことに気づきながらも、知らないふりをしてそっと本当の別れを
今こそ心の中で告げるというドラマを描いている。

もちろんH氏が向かう駅にはそのようなドラマは無いのであるが、
何年かぶりに向かうその先が駅であり、その車中で流れた歌が
「駅」であったことには奇遇をおぼえた。
はたして到着してみると、見覚えのある姿が駅のベンチで眠り
込んでいて、前回はロータリーのバス停という違いはあるものの、
時の流れの不思議さをH氏は思った。
K氏は月末に予定されている知人の結婚式の余興で演奏をする
ため、その練習からの帰途で電車を乗り過ごしたのだった。
帰り道の車中では、夜なのに飲んでないなんてえらいねーなどと
言うK氏の声が大きくて、徳永英明は聞こえなくなってしまった。

翌朝に朝食のあと駅まで送るクルマの中で、ようやくK氏も
気づいたようで今歌っているのは誰なのと質問を受けた。
共通の恩師であるS先生宅で流れていたのだと説明すると、
選曲が渋いよねとK氏が感想を述べた。そのときに流れていたのは
「翼をください」だったか「卒業写真」だったか。あまり覚えていない。

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Comments

この文章を読んだらこのCDを買ってしまいました。よく知っている歌がまた違った響きで、なかなかいいです。こういう声って倍音というのでしょうか。心地良い声です。

Posted by: 東 | 2008.04.29 at 04:39 PM

ドリカムの曲とかオリジナルより色っぽく聞こえますね。男の僕でもクラクラするほどです。

Posted by: ☆ | 2008.05.05 at 09:08 AM

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