« ネット依存 | Main | 人の本能 »

あなた一筋

elevenface.jpg
(↑等高線で描かれた十一面観音のポスター)

高校の3年間は下宿生活をしていた。
息子と娘が巣立ってゆき必要のなくなった2階の
子ども部屋を使って奥さんがはじめた下宿屋は、
3室しかなかったから寮という感じは全然しなかった。

僕の他の二人はそれぞれに個性的で、
一人は同級生の無口なO君。
ヒットラーの『我が闘争』が愛読書だと言い、
そういえば彼の顔は総帥に似ていた。

もう一人は一年上のH先輩。
この人は大食漢であると共に、推理小説マニアであり、
創元推理文庫は殆ど読んでいた。ノートに感想と点数も
付けていたようで、見かけによらず繊細な性格だった。
大きな身体でやって来ては受験と進路の悩みを
夜な夜な話すので、僕は相づちを打っていた。

このH先輩が僕を評して、
「お前は本を作家で読むのが好きなんだな」と言ったことがある。
そのときも、今も思うのだけど、
そうじゃない読み方なんて他にあるのだろうか?

僕の読書の原体験は、中学に読んだ筒井康隆作品にある。
映画原作というオビに惹かれて『時をかける少女』を読み、
他の作品もこんなふうかなと思って、エスパー七瀬が活躍する
内容に期待して読んだら、大げさに言えば人生が変ってしまった。
詳しくは書かないけど。

一人の作家を気に入ると、しばらくは追い続けてしまう。
以前は何も考えずにそうしていたのだけど、最近はふと考えてしまう。
この一冊を読んで面白かったので、できれば同じ作家の他の作品も
読んでみたいけど、
①これが最新作だから遡って読むと、未熟さや未完成な箇所が
 目に付いてしまうかもしれない。
②他の作品に触れて、もしも、同工異曲さに気づいてしまうと、
 最初に味わった感動が薄れてしまうかもしれない。
③おおよそ面白いと判断できた作家のものは置いておいて、
 もっとちがう地平の作家を探しに行くべきではないか。
④それがデビュー作だった-というケースもある。

でも、力の感じられる作家のものは四の五の言わずに
読んでしまう、というか読まされてしまう。
最近では、森博嗣、保坂和志、嶽本野ばら、などがそうで、
昨年から今年にかけて立て続けに読んだ。
先日の岡崎京子もあまりに印象的だったので、
これから集中的に追いかけてみようと思う。
離れるか追いかけるか、これは勘と、
信頼の置ける友人筋からの情報によるところが大きい。

|

« ネット依存 | Main | 人の本能 »

Comments

 はは、私は本を「題名」で読む傾向がややありますね。高校生時代は小説はあまり読まず、題名に「日本語」と付く本を片っ端から読んでいました。最近の齋藤孝さんの本は2冊しか読んでませんが。

Posted by: ソウルパワー通信記者 | 2004.07.22 at 11:50 PM

僕も作家で読みますね。案外初期の作品の方が良かったり(これは音楽にもあてはまります)、気に入った作品と似たものを読みたいという気持ちがあるので、同じ作家の作品を追いかけることに抵抗はありません。問題はお気に入りの作家が多くなりすぎて、読むのが追いつかなくなりつつあることぐらいでしょうか。

Posted by: Kau | 2004.07.23 at 09:44 AM

「偶然のカタチをした必然」で本が近づいてきた時に出会うようです。
出会えれば、同じ作家で読める時もあるけど、本を注文したりしてまで自分に引き寄せて会おうとはしないので、時々の偶然で何度も会える「縁」が有る人を見つけるのも楽しみです。

久々のヒット「乙一」偶然の縁もちゃんと作動していたし。

Posted by: さぁら | 2004.07.23 at 07:04 PM

【冬ソナ風直球勝負】ってのを書いてみましたのでどうぞ。
「君は僕にとって書物のようだよ」
「きっとあなたは私のすべてを読み終えたら他の人に移るのよ。飽きるんだわ」
「いや、ちがうよ。君は完結した物語じゃない。今でもこうして新しいページが書き加えられつつあるんだ」
「え、どういうこと?」
「僕はいつでも、これまで知らなかった君の意外な、そして素敵な側面におどろかされてばかりなんだよ。君は、僕にとって更新されつづける書物なんだ。そして僕はそれをずっと読み続けていたい」
(二人見つめあう)
~END~

Posted by: ☆ | 2004.07.24 at 08:14 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/15423/1027784

Listed below are links to weblogs that reference あなた一筋:

« ネット依存 | Main | 人の本能 »